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The Center for South Asian Studies(RINDAS)

南アジア研究センター
 

南アジア研究センターとは

南アジア研究センターとは

南アジア研究センターとは

龍谷大学南アジア研究センター(元・現代インド研究センター)(RINDAS)は、人間文化研究機構(NIHU)プログラム「現代インド地域研究」(現「南アジア地域研究」)の一環として、1年の準備期間を経て、2010年4月に、同機構と龍谷大学によって共同設立された研究拠点です。第1期事業(2010~14年度)の活動と成果を受けて、第2期事業(2015~2021年度)が開始されました。

第1期・現代インド研究センターの活動と成果

第1期において、当センターは、「現代政治に活きるインド思想の伝統」をテーマに、現代インドを多面的かつ長期的視野のもとに研究してきました。そこでは、龍谷大学が豊富に蓄積するインドの古典知に関する史資料・知識と、特に現代インド政治をはじめとする現地の状況に関する事例研究との結合を図ってきました。具体的には、「現代インドの政治経済と思想」、「現代インドの社会運動における越境」という2つの研究ユニットを組織し、両ユニットは、理論と実証の統合を意識しつつ、インドの伝統思想研究と地域研究との連携と融合に取り組んできました。

【第1期のセンターの活動についての詳細はこちら】

  • 設立・活動趣旨
  • 研究体制
  • 研究活動
  • 研究成果(刊行物)

第1期における当センターの最大の成果は、伝統思想の現代的意義という視点が、現代インドの政治・経済・社会の変化を理解するうえでどのように活かされるべきか、翻って伝統思想の研究をいかに活性化しうるかについて多くの議論を重ね、「ダンマ/ダルマ」概念の歴史的・現代的重要性をはじめとする、数々の枢要な知見を得ることができたことにあります。またさらなる成果として、文献的理論的研究に加え、地域研究者が、仏教研究者、現地の実践家や現地在住若手研究者などの全面的協力を得て、改宗仏教徒を中心とした下層民の実態に深く迫り、かれらの一定の地位向上が、宗教思想の変革と教育普及運動の双方に深く関連していることを多面的に解明したことが挙げられます。

第2期・南アジア研究センターが目指すもの

第2期では、上記の第1期における研究成果ならびに確立された当センターの特色を、さらに発展・展開させていきます。すなわち、現代インド・南アジア社会の変容を代表的に表象する「下層民の台頭」に着目し、思想史との連関を念頭に、人びとの生活状況や意識、価値の基層的変化についての研究・分析を行っていきます。

1990年代以降、インド社会が大きく変容していることは、多くの研究等により指摘のなされているところとなります。それは、政治的には民主主義の展開と深化で語られ、また経済的には、市場経済の発展と生活状況の向上、そして負の側面としての格差の拡大でもって捉えられます。社会的には、各種の社会運動の登場と興隆に依って立ち、文化宗教的には、多様なアイデンティティの主張が並列的になされうる状況をもって表されます。こうした変容は、インド、ひいては南アジア社会の思想と価値が、その基層から胎動・変化しているがゆえと捉えられるでしょう。

当センターでは、第2期において、「南アジアの思想と価値の基層的変化」との統一テーマを設定し、多側面におよぶ現代インド・南アジア社会の変容の様相を捉えるため、ひとつに、南アジア地域社会における思想の長大な時間軸における系譜的研究から、またひとつに、具体的な状況についての現地調査に基づく価値の基層的変化に関する分析から、両観点の統合的な考察を行い、現代インド・南アジア社会の基底部分における変容の起点と推進力の解明を目指します。なかでも、現代インド・南アジア社会の変容を代表的に表象する「下層民の台頭」の様相に着目し、思想史との連関から、その背景と論理を探究し、現地調査から、人びとの生活状況や意識、価値の変化についての研究・分析を行います。具体的な研究活動としては、思想的系譜研究、歴史・現状分析という二つのパースペクティブを軸に、方法としての現地調査との往還のもと、問題意識と研究成果の統合と共有化を図りつつ、研究を推進していきます。

現代インドにおいては、下層とされてきたコミュニティの台頭が、さまざまな地域において、多様なかたちをもって、遍在的に見られるものと考えられます。それは、南アジアにおける、多彩な人びとの「声」の表出のひとつのかたちとして捉えられるでしょう。当センターでは、個別具体的なフィールドから多様な現況を集積し、思想的系譜研究、歴史・現状分析との議論の往還から分析・考察を行い、帰納的に、より大きな枠組みにおいて、現代インド・南アジア社会の変容を捉えることを目指します。

今期当初は、社会変化の背景を為す思想・価値体系の通時的な研究と,現地調査を基軸とした現代社会情勢の調査・分析との接合を意識して、研究課題に取り組んできました。30名を超える拠点メンバーは、(1)思想史研究班、(2)歴史研究・現状分析班、(3)「下層民の台頭」フィールドワーク班に分かれています。とりわけ、2019度より、現代の社会現象を、世界経済・政治や経済発展等の共時的要因とともに、その背後にある精神性の歴史や宗教的土壌との関わりで理解するとの視点も有し、個別の問題を取り上げつつ、3班の有機的融合を目指し、研究を進めています。

南アジア研究センターのさらなる展開に向けて

「南アジア地域研究」(元「現代インド地域研究」)事業は、ネットワーク型という新しい研究組織方法をとっています。すなわち、京都大学、国立民族学博物館、東京大学、広島大学、東京外国語大学、龍谷大学の6つの研究拠点がそれぞれを結ぶネットワークを作り、京都大学を中心拠点、国立民族学博物館を副中心拠点として、人間文化研究機構との共同で研究を推進していくものです。

【「南アジア地域研究」事業全体の概要についてはこちら】

当センターは、こうした研究推進ネットワークの1つの拠点を担い、南アジア地域の思想と価値、ならびに社会変容に関する研究を推し進めると同時に、拠点ネットワーク全体の事業を推進します。本研究の国際化に留意し、南アジアのみならず、欧米およびアジア諸国の高等教育・研究機関との連携を図ります。また、蓄積された多彩な研究機関や運動組織との関係を活かし、拠点ネットワーク資料の収集・整理にも、質・量とものさらなる充実に貢献します。また、龍谷大学内におけるセンターの恒常化を目指します。

龍谷大学南アジア研究センターは、研究と教育をつうじて、人びとにひらかれた、人びととつながる拠点づくりを目指していきます。

第1期・現代インド研究センターとは